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これは何の部屋でしょう?正解は、元は空き家だった物件に付属する倉庫だ。店舗併用住宅だったため、おそらく在庫品の保管に使われていたのだろう。現在の住人からの依頼でこの倉庫を利用して厨房をつくる計画があり、初めて中を覗いてみた。すると壁一面に、細長い木材がびっしりと打ち付けられていた。何かの用途があったのか、あるいは意匠的なこだわりだったのか、理由はわからない。何もない寂れた空間を想像していたので、いい意味で裏切られた。元の住人の歴史が感じられるこの仕上げを、あえて残し意匠として活かす案が浮上している。建物の個性が生きることで、二つとない空間になる。それこそが、リノベーションの醍醐味であり、楽しみだ。

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“建築は職人が作るもの”
“住宅はローンを組んで手に入れるもの”
“材料はお金を払って購入するもの”

これら当然だと思い込んできたことは、明日もあたりまえに続くことでしょうか。
昨日まで何の疑いもなく繰り返されてきたことが今にも途絶え、変容しようとしている時代。我々は明日のあたりまえを見通すことが難しい時代に生きています。

建築と都市はそのスケールの大きさから、様々なものの関係性の中においてこそ存在し意味を持ちます。人々の価値観が細分化・多様化し、あたりまえを見つけるのが難しくなった時代において、偏狭な趣味嗜好、主義主張を振りかざすだけでは持続可能な状態をつくることは困難になっています。
新築 / 改修  
都市 / 地方  
人工 / 自然  
新しいもの / 古いもの  
全体性 / ディテール
どちらか一方ではなくそのあいだ、それ単体ではなくそれらの関係性を考えることこそが建築家の役割ではないでしょうか。

小林スタジオでは、今まで盲目的に不変のものとしてきた“あたりまえ”を疑い、スケールを横断する俯瞰の視点でオルタナティブを提案することを目指します。多様化する価値観、相反する事物を優劣なくフラットに扱い、人/建築/物質の大きな循環のなかで関係性の外に追いやられているヒトモノコトに光をあて、場所づくりのなかに取り入れる。
そうした建築を通して新しい世界の豊かな暮らしを実現することができるのではないかと考えています。

小林 和史

千葉県佐倉市出身
千葉大学大学院岡部明子研究室卒業後、都内大手組織設計事務所にて大規模再開発PJなどに従事したのち、2021年よりkurosawa kawara-ten所属。
大学時代のスラムや古民家を対象とした実践活動と都内大規模再開発での実務、振れ幅のある経験がスケール横断的な思考の基となっています。
里山の景観と、アジアの雑踏が好物です。

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