開宅舎のためのメンテナンス











今週は開宅舎さんが管理している市原市加茂地区の古民家3物件の現調をおこなった。1件は開宅舎さんが新たに取得した物件で、入居者募集前に撓んでいる床や天井などの修繕を行う予定。残りの2件はすでに入居者が入居している物件だが、雨漏りがしているということで、屋根の上に登って原因を特定し、対策を検討した。開宅舎さんの物件修繕を継続的に行っていると、古民家の不具合に対する見る目が養われ、対処法もすぐに分かるようになってくる。それはさながらお年寄りばかりの過疎地域で巡回診療を行う町医者のようでもあり、僕らはこうした関わり方を“町医者的建築家”と呼んでいる。空き家が増え続ける過疎地域にこそ、知識と経験をもった町医者的建築家の役割がある。


studio: kobayashi studio
Project: 開宅舎のためのメンテ
タグ:Architecture


開宅舎からの依頼で、元空き家だった物件の雨漏り調査に伺った。立派な門や庭を備えた豪邸で室内の意匠も細部まで凝っていたが、特に目を引いたのが、玄関から入ると正面に見える丸窓障子だった。住宅で目にするのは初めてだったが、即座に「となりのトトロ」のワンシーンが脳裏に浮かんだ。さつきとメイが新しい家を駆け回る、ワクワクする場面だったと記憶している。丸窓障子の、部屋と廊下の間に窓があるという不思議さとその丸い形の可愛らしさに、子どもながらに心がときめいていたことをよく覚えている。そんな心惹かれたデザインの本物に、20数年越しに出会えた嬉しい日だった。


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空き家を現調するうえでのポイントについて、スタジオ長からレクチャーを受けた。古い建物を扱う時は、新築住宅を設計する時とは異なる知識が必要だ。「出雲式浄化槽」や「単相2線式」など、古民家に関わる仕事をしなければほぼ出会うことのない言葉だろう。設備の説明の後は、該当物件の問題点(床のたわみ、電気が点かない、お湯が出ないといった“空き家あるある”)を確認し、原因を探って対処法を考えていく。ここまで老朽化した建物を目にする機会は、ふだんの生活ではなかなかない。素材や設備がどのように劣化していくのかを実際に見ることができることは、ある意味貴重な体験かもしれない。


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kurosawa kawara-tenでは職人の手元パートタイムスタッフを募集している。うちの現場に入っていただく職人さんに手元として付くことで、工事をサポートしてもらう仕組みだ。これはとある日の作業の様子。開宅舎さん物件の水道修繕工事にて、水道屋さんの手元として穴掘りや斫り作業から水栓器具の取り外しまで作業をしていただいた。職人にとっては金銭の負担なく手元をつけることができ、またパートタイムスタッフにとっても給料を受け取りながらリアルな現場の様子を体感することができるwin-winな制度となっている。我々にとっても工事がスムーズに進むことを期待はしているが、本当の狙いはもっと先にある。職人不足が切実な問題となっている建築業界。状況を悲観しているだけでは仕方がない。空き家が増え続ける地域において、建築の知識を身に着けた多能工を増やす壮大な目論見の第一歩である。


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ハンガリーからのインターン生と一緒に古民家の実測をした。彼女は910モジュールは理解しており、作図の手際もよかったので、安心して自分も実測に集中した。ところが室内を一周し終わる頃、「辻褄が合わなくなった」と彼女から声がかかった。一箇所、柱間が1,365となっているところを1,820と間違えたことが原因のようだった。空き家のため畳が既に撤去されており、ぱっと見では間崩れに気が付かなかったのだろう。その他にも勝手口など910グリッドに乗らない場所があり、少し混乱してしまったようだ。シンプルな構成に見えても、たまに複雑さを孕んでいる。そんな古民家の面白さを経験してもらえる良い機会となった。


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