2022.07
Nk さんのための家

 京葉工業地域が発展していく過程で郊外へ広がっていった住宅地として、千葉県市原市に川鉄団地がある。郊外戸建て団地としての需要はすでになくなり、第二世代も住み着かず、現在は65歳以上の住民が半数以上のいわゆる限界集落となっている。そこに住む一人暮らしの高齢女性のための建て替えプロジェクトである。
 施主はこれまで70年代に建てられた性能のとても低い家に長年住んでいたため、暖かくバリアフリーで快適な家に憧れていた。それをそのまま実現するとただの箱になってしまうか、誰のためでもない建売住宅になってしまう。そこで施主の要望がそのまま家の個性となって団地内に新しい環境となり立ち現れることはできないだろうかと考えた。暖かな家のためにLDKと個室をわけつつ、明るい環境をつくるため中庭を作る。その上で前面道路や背面の広場からの視線や感覚に格子壁やハイサイドライトなどの間接的な開口部を配置した。これにより形状が入り組んだ隙間のあるものとなり、今までの団地内にはなかった建物を通して背後が見える視線の通り抜けや、ファサードの連続に変化のある新しい街並みを作ることができた。

Photo:kurosawa kawara-ten