2022.03
高滝コーポレートオフィス

 千葉県市原市南部で1974年に始まった高滝ダム建設のための現場詰め所として建てられた鉄筋コンクリート造二階建ての建物が特に手も加えられず長年放置されていたのものを、コロナ禍を機に始まった里山エリアの活性化拠点として整備した計画。
 高滝のエリアは市原市南部の中でも比較的観光に重心が置かれているため外部からも企業が参加しやすい土壌があり、そのため、観光を中心としたビジネス誘致のためのコーワーキングや、プレゼンテーション、打合せスペースをもった建物へとよみがえらせた。多くの予算は屋根の防水工事や水道再敷設、空調やトイレといった機能面に割かれたため、インテリアに掛ける予算はほとんど無かった。そこで基本的にはボロボロになってしまっていた内装建材を剥がし、土間床として薄くモルタルを塗る程度にとどまった。それでもリモートワークなどが急速に受け入れられて急激に世界が変化する中で、都市部の人達が利用しに来ても気持ちよく使ってもらえるような設えをする必要があった。
 そこで、インテリアとして椅子は既製のプロダクトを選択して導入したのだが、デスクに関しては簡易的でもそこにしかない雰囲気を作れるよう制作をしている。それでも家具職人に頼む予算はなかったため、厚みのある合板に銅の板金を貼り込んだ天板や、厚みのある合板を二枚重ねただけの天板などを、簡単にベニヤの端材を組み合わせた脚に乗せるだけというシンプルなデザインとすることで、ローコストでオリジナルな空間を作ることができることを期待した。
 建物は現場用のラフな作りとはいえ研ぎ出しの流しや入口を飾る階段室など、シンプルだが気の利いたデザインになっていたこともあり、それぞれの要素がもつ質感の良さと新しい要素が相まって、ショッピングモールやファストフード点のような取り繕われた小綺麗さではなく、次の世代にも使われていくことのできる雰囲気を纏うことができたのではないだろうか。