2021.10
Atelier for energy closet

売らない古着屋のenergy closet、古着をアップサイクルするアパレルブランドupHnad の製作所兼用住宅のリノベーションプロジェクト。

市原市南部にある過疎地域であり、里山と呼ばれる農村地域にあった空き家に若く新しいアパレルブランドが拠点を構えるという、通常考えるとありえないような与条件であった。ブランドのコンセプトも古いものを捨てずに活かすエシカルな考え方であり、ブランドが持つ古着という雰囲気も、古民家と当然相性は良く、また、道具や在庫の服で埋め尽くされることが予想されたことからあまりインテリアに手を掛ける必要はないと考えられた。そこで、畳を剥がして断熱材を入れ、その上にプレカット工場から出るベニヤの端材を市松に貼ることで床の仕上げとした。さらに天井裏に気密シートを入れることで虫の侵入を防止したり、湿度のコントロールを少しでも容易にし、在庫管理をしやすくしつつ、下地を補強したうえでベニヤの端材で天井を作ることで、服を吊って保管することもできるようにした。古民家特有の高い天井の中にあれば直接紫外線を受けることもなく、空間も大きく使えるのではないかと考えた。

その後少し暮らした後に薪ストーブを導入したいとのことで、床材を燃えない物で設える必要が出たため、タイル職人が抱えている不要な在庫タイルを施主と一緒に見に行って選別し、その場でコンポジションを決めて貼ることにした。

在庫の古着も中古、建材も中古、もちろん家自体も中古なのだが、それぞれの要素が持つ小さな歴史と多様な趣が新しい田舎暮らしを無理なくポジティブに作り上げていることがとても興味深く、建築設計やデザインの有り様を再度考えさせられるものであった。

Photo : kurosawa kawara-ten