2020.04
小湊鐵道五井駅チケットセンター
千葉県市原市五井駅前に小湊鐵道のためのバスチケット売り場を設計した。2019年に大型の台風被害に見舞われた小湊鐵道は、沿線が崖崩れや土砂災害などで運休を余儀なくされており、観光鉄道としてのトロッコ列車などが浸透してきていたが、これらの運行にも大きな影響が出ていた。こうした苦境を打開すべく、乗降客の待ち時間の改善やホスピタリティの向上のため、五井駅前にあった古い建物を建て替えて、チケットセンターとカフェを作るプロジェクトを進めるための新しい建物設計が求められた。創業した大正時代から百年近く経た駅舎やその沿線施設群を考えると真新しく四角い箱のような建物はそぐわないと考え、鹿島建設が当時建設した駅舎や倉庫にあるボキャブラリーである羽目板を外壁に用い、建物の形状を貨物上屋と呼ばれる貨物線を引き込んで荷下ろしをするための倉庫から引用することで、歴史ある建物群との調和を試みた。同時に、「逆開発」という小湊鐵道のコンセプトに応えるべく武田屋作庭店がランドスケープをコンクリートから里山に返すように市原市の里山に生えている普通の樹木が植えられることと呼応して、燃料や建材以外の里山の木々の新しい享受の仕方を提案しようと考えた。小さな小屋の屋根半分を天窓としつつ、育った木々がその窓を覆うことによって、都市部のチケットセンターでありながら木漏れ日の中にあるような環境を提供できないかと考えた。これは同時に通常は暗いはずのチケットセンター内が外部よりも明るいという非日常の演出にもなり、観光地である養老渓谷やゴルフ場への期待感を高められるのではないかと考えた。カフェの計画は後のコロナ禍での混乱によって新築をせずに既存倉庫が地場工務店の手によってリノベーションされた。後に武田屋作庭店によってパーゴラが追加されるなど、設計者の意図を離れて木々と共に変化し続けている。
ランドスケープ:武田屋作庭店
サイン計画:高橋洋介
写真:kurosawa kawara-ten
ランドスケープ:武田屋作庭店
サイン計画:高橋洋介
写真:kurosawa kawara-ten













