2025.09
Knさんのための家











先週お引き渡しをした新築住宅の植栽工事をおこなった。施工は毎度お世話になっている、武田屋作庭店の武田さん。限られた予算のなかで、植栽帯一か所だけの小さな工事となったが、さすがのセンスでいい感じに施工していただいた。植えたのはアオダモやアズキナシなどの落葉広葉樹。落葉樹というと落ち葉が気になるかもしれないが、武田さん曰く、落葉樹の落ち葉は常緑の葉と比べて軽いため、一か所に滞積して悪さをすることは少なく、土にも還りやすいのだという。建築はそのスケールの大きさ故に、実際に建つまでその空間の良し悪しを判断することが難しいが、季節の移ろいや木々の成長といった変化を織り込む庭師の仕事もまた、確かな知識と想像力を必要とされる面白い職能だと実感する。


studio: kobayashi studio
Work: Knさんのための家
タグ:Architecture


新築の住宅がついに竣工した。担当者の努力が実を結び、無事に素敵な家が完成したことを、私自身も心から嬉しく思う。一見まったく別の建物のようにも見えるクリームイエローとグレーのふたつのボリュームは、奥様と旦那様それぞれの好みを反映したものだ。庭から見上げると、それらが交差する様子の向こうに、澄み渡る秋の青空が広がっていた。これからこの家で始まるおふたりの新しい暮らしを、明るい未来が照らしているように感じた瞬間だった。


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ついに最後の木工事となる本棚製作が完了した。お世話になった大工さんの最後の作業である。予定が詰まっている中、日曜日の午前中に施工しに来てくださった。この書斎が本棚によって明確化されることで、夫婦それぞれの趣味室となるピアノ室と書斎の関係性が見えてくる。籠るピアノ室と開かれた書斎。視線の先に映るが姿までは見えないピアノ室と、見ようと思えばいつでも見える書斎。建築全体に広がる対比構造の重要な一つとなる。照明器具付けや水道工事があと少し残っているが、来週末のお引越しに向けてのラストスパートを楽しみたい。


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この住宅の南面ファサードは宙に浮いた家型のボリュームが特徴的である。周辺環境への応答の結果、北側にむけては大きく開口をとった反面、南側にはほとんど開口部を設けていない。壁がそり立つ様子は、近隣の戸建て住宅の面構えとは似ても似つかない姿をしているが、この典型的な家の形を想起させる切妻屋根のボリュームがこの住宅を家たらしめている。その姿はいわゆる”普通の家“と比較すると家らしくないとも言えるし、むしろ最も家らしい形をしているとも言える。どれも似たような”普通の家”が立ち並ぶ住宅街において、はたして普通とはなにか、個性とはなにか、家とはなにか。そんな思索がこのファサードに表れている。


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この住宅のハイライトのひとつ、アーチ窓にガラスが入った。スチール造作枠については以前触れたが、今回はその続き。ガラスは内押縁の形で納められており、押縁には21㎜のラワンランバーをアーチ形状にカットしたものを使用した。ガラスとスチール枠、押縁の間には幅広のバッカーをアーチ形状にセットしたうえでコーキングすることでガラスからの覗き込みに配慮し、方形のガラスがまるでアーチ形であるかのように納まっている。ソリッドな塗装巻き込みの窓枠とラワンランバーのアーチ押縁の対比がアーチ窓の装飾性を際立たせる。本来は組積造において、その構造的制約から生まれたアーチ窓が、方形の開口枠のなかでわざわざ納まりを工夫しながら、装飾的要素として新たに作り出される。装飾について考えさせられる。


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自分が担当した新築住宅の引き渡しがあった。2月頃から申請業務を始めて約半年間このプロジェクトが続いたが、それももうこれで終わりだ。無事に内部の工事は全て終わり、残すところは庭などの外構のみとなった。思い返せば、材料の発注が遅くなったにも関わらず間に合うように配送をしてくれたり、休日や夜間に工事を進めてくれたりなど何度も自分のミスを助けてもらった瞬間があった。事務所の先輩方のたくさんのお手伝いも本当に心強かった。たくさんの支えのお陰様で、施主さんには新居をとても喜んで頂けたと思うので、このプロジェクトに関わってくださったすべての人に感謝しても仕切れない。引き渡しが無事に終わり、本当にホッとして肩の力が抜けたような感覚があった。とはいえ自分はこのプロジェクトを進めることが精一杯で、その他進めなければならないプロジェクトに手を付けられていないので、だらけずに切り替えて頑張ろう。


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暑かった現場もすっかり涼しくなり、灯る作業灯の下、事務所の後輩スタッフと建具職人さんが引き渡し前の最後の確認をしていた。現場も最終局面となると、職人さんとその現場で培った信頼関係みたいなものが垣間見える。図面を描き、材料を手配して、職人さんとコミニュケーションを図り、チェックして、直して、また次の準備をする。建築を完成させるためにはそんな無限のプロセスがあるのだが、彼がこの現場にどれだけの熱量で取り組んだかは、現場を見るとよくわかる。そして、そんな彼に応えるように、職人さんも言葉数は多くないけれど、「良いものにしてやろう」と向き合ってくれている様子がその背中から感じられた。建築は、図面やCGだけで出来上がるわけではなく、最後はこうして人の手によって一つひとつ形になっていく。完成した建築は携わった人間の熱量の総体なのだと、改めて感じさせられた熱い夜だった。


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新築現場で、スタッフやお施主さんがDIT(Do It Together)で進めている巾木や壁の塗装作業を手伝った。白い壁や巾木に色がのると、空間に一気に個性が生まれ、そこで営まれる暮らしのイメージが膨らんでいく。もし自分の家であれば、期待はさらに高まることだろう。DITを経験したお施主さんからは「住まいへの愛着が増す」とよく耳にする。それに加えて、空間の印象がガラリと変わり、これからの暮らしの場が形づくられていく瞬間に立ち会えるということも、かけがえのない体験になるのだろうと思った。


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いよいよ終盤に差し掛かった現場では、造作家具や水栓、電材が入り始めている。タイムリミットが迫ってくる焦りと、内部空間の完成が見えてくる楽しみで頭がいっぱいである。足場の解体も行われ、外部工事はついに完了した。約5ヶ月間足場に覆われていた建物がついに姿を現し、内部の養生も少しづつ減ってきた。楽しみすぎる建具も今週末に迫ってきたので楽しみだ。


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引渡しが迫ってきている現場に手伝いに行った。現場終盤あるあるだと個人的には思っていることなのだが、大工・家具屋・塗装屋・電気屋・水道屋・足場屋、数多くの職人が一同に会し、現場は車で溢れていた。足場が取れ、作業場で加工された家具がインストールされ、配管やケーブルが飛び出ていた場所に設備が納まっていく。急激に工事現場が住宅へと変貌していく。このタイミングの現場は中々に疾走感があり、これを捌き切る現場監督には負荷がかかる。がんばれTanishima。もう少しだ。


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ついに建具が入り始めた。角のフィレットと木材の暖かい印象がクールなグレー塗装の空間にかなり効いている。設計時に様々なフィレット半径でスタディしたため、自分としては大満足の仕上がりだった。選定した引き手やつまみ等の器具もかなり良い雰囲気だ。あと一週間で養生を全部剥がし、すべての器具が設置される。待ち遠しい。


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今週はシステムキッチンの搬入と施工があった。システムキッチンの施工現場を見るのは初めてだったし、図面を見ながらレンジフードボックスや腰壁の製作をしていたので、少し緊張もしていた。休憩中に職人さんと雑談するタイミングがあり、その時システムキッチンのことを色々教えて頂いた。造作でキッチンの壁を製作する場合の寸法の適切なバッファや、いろんなメーカーのキッチンや食洗機の特徴を聞いた。無事に取り付けることができてほっとした。


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この家のハイライトとなる造作FIXアーチ窓のスチール枠を取り付けた。おそらく、今回の設計のなかで一番検討に時間をかけたディテールだろう。厚み1.6mmのスチール板金で成形したアーチ形状の枠を室外側に取り付け、ガラスを室内から吊り込む納まりとなっている。このスチール枠は薄板板金の曲線形状での溶接成形となっており、加工としてはかなり難易度が高いはずだが、株式会社新和さんに精度高く製作していただいた。mm単位で検討を重ねた納まりが精度の高い加工技術によって納まっていく。この瞬間は建築の醍醐味の一つといっても過言ではない。このディテールに関しては語りたいことがまだまだあるので、続きはガラスが納まった後で。


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建築には様々な見切りがある。巾木、廻縁、枠、などなど。そうしたところは往々にして、異なる職人の技が出会う場所でもある。フローリングとPタイルを曲線で貼り分ける部分の見切りをできるだけシンプルに見せるため、それぞれの床材の間に1.5mm厚のフラットバーを挟むだけという、逃げが全くきかない職人泣かせの納まりを考えた。まずは大工さんの出番。12mm厚のフローリングを貼り伸ばしたところに曲線を印刷した実寸の型紙をあてて切り出したのち、フラットバーをPタイルの捨て貼りとなる9㎜合板で挟みながら固定していく。9mm合板とフラットバーの間に楔を打つことで、フラットバーはフローリングに隙間なく突き付いた。なるほど、そうすればいいのか。ここまでは完璧。あとは内装屋さんの技に任せるだけだ。


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前回の投稿で一枚だけ色が濃いフローリングの話をさせて頂きましたが、そのフローリングはなんと寝室収納建具の敷居として生まれ変わった。設計だけでなく、現場監督として現場に毎日通っていたおかげで、色が濃く使えないフローリングに居場所を見つけることができた。流れるような美しい木目を断ち切る色の濃いフローリング敷居。図面上だけでは設計しきれない、自然素材ならではの個体差を現場で直感的に活かすことができたことが素直に嬉しかった。設計を超えた設計のような、なにかこの事務所で仕事をする上で大切なことを体感できたような。自分のレベルが一つ上がった気がした。


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現場でフローリングの施工が行われた。ついに内装仕上げが施行されるということでワクワクしていたのだが、そんな中事件が起こった。一枚だけかなり色味が違う。大工さんも貼ってから気がついたらしい。その場で謝罪しつつ剥がして別の材料を張り直してもらった。さらに届いたフローリングの中に傷物が5枚も出てきた。現場では思わぬアクシデントが多発するのだが、その他の作業の準備もできていたのでギリギリセーフ。そしてこの色違いフローリングは新たな場所で役に立つことになる。現場での咄嗟な判断が良い結果を生んだ嬉しいその話はまた次の投稿で。


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ついに内部のボードが始まり、すごい速さで貼られていく。天井高や開口などの細かい寸法等完全に決まっていく。壁の中に逃げている配線などが隠されていき、もう戻れないところまで進んできた。忘れている逃げや受け材などが無いか何度もチェックしているが、それでも不安である。この先大工さんは終盤に差し掛かり、その他多くの仕上げ系が始まるため、準備しなければならない材や図面、日程調整が絶えない。毎日現場のことで頭がいっぱいだが、他にもプロジェクトがあるのでそちらも進めなければならない。仕事って難しい。


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