2025.07
takashima studio
Ngさんのための家











先日引き渡した住宅で、追加の外構工事と合わせて、雨が上がった夜についに玄関の照明が点いた。
夜の明かりは、そこで人が暮らしていることを象徴するようでとても好きだ。ポーチライトに限らず、リビングやダイニング、家は色々な空間から外へ光を漏れ出させる存在だと思う。日本の住宅街では、多くの家が昼夜を問わずカーテンを閉めていて、外から内部の様子はほとんど分からない。街を歩く側からすると、一切生活の雰囲気がわからない窓が並ぶ光景はとても冷たく、街の雰囲気そのものも堅いものに感じてしまう。もし、常に開けておける窓や、内部が直接見えないように配慮された窓があれば、そこのカーテンが一枚開くだけで、光や気配が外に滲み、街の表情は少し柔らかくなる。街並みへのプレゼントのような光を、一つでも作ることができると、街と建物の関係は、もっと良くなっていくと思う。


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Work: Ngさんのための家
タグ:Architecture


僕たちが作業をお願いしている職人さんにはいろいろなタイプの人がいる。とても丁寧に作業をするためゆっくりな人もいれば、少々手荒だけどスピードは速いという人もいる。絶対に何がよいということはなく、状況によって求められることはケースバイケースなため、現場監督であるこちらがその都度、適切なコミュニケーションをとる必要がある。ただ中には、作業も速いし仕上がりもきれいというスーパーな職人さんもいる。そのような職人さんは本当にすごいと思うのだが、不思議な事に作業が速いからといって、決して動きが速いというわけではないということだ。先日石膏ボードを天井に貼ってもらったときも、大工さんは俊敏というよりは安定感のある、そして滑らかな動きで次々と作業を完了させていった。きっと、その裏には山のような場数の経験と、僕らには想像できないような工数の先読みがあるのだろう。


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先日、新築住宅の施主施工をサポートしてきた。最初に簡単なレクチャーをして、その後はつまずきそうなところをフォローしながら、基本的にはお施主さん自身に作業を進めてもらった。こういう場面では、慣れているこちら側がどうしても作業の大半を担ってしまうケースが多い。でも今回は、お施主さんがすごく積極的に動いてくれていた。序盤にこちらが次の作業の準備や作業スペースを整えている様子を見てくれていたのか、手が空いたときには自然と次の準備をしてくれたり、片付けを進めてくれていたりと、自発的に行動してくれる場面が多かった。一方的に教える・手伝うのではなく、互いに動きを見ながら補い合うような感覚で、まさに二人三脚で作業しているようだった。見て学び、すぐに実践してくれる姿勢に触れて、互いに歩み寄ることで「DIT(Do It Together)」が成立するんだなと実感した。


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最近、鏡を取り付けた。IKEAで売られている鏡。IKEAのわかりやすいイラストを見ながら組み立てる。といっても、パーツはそんなにない。いざ完成してみると、空間がとても広くなるのを感じた。そして、外の緑がつながって見える。少しの操作で空間を変えれることを知ることができた。


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kurosawa kawara-tenでは勇気づける建築、背中を押す建築を目指している。引き渡された建築に住まう施主は揃ってとても満足そうで、何か活力を与えられているかのように生き生きとしている。それは新しい暮らしへの期待感と高揚感なのだと思うが、勇気づけることができていることを実感する。一方で、もしかしたらお施主さん以上に私たちの方が勇気づけられているのかもしれない。現場を進めている最中は心が折れそうになる場面が幾度となくある。しかし、竣工した建築の中で改めて空間体験しているとこんなに素晴らしいものを私たちは実現させることができるのかとハッとさせられる。そうして、あのすごくきつい現場終盤の記憶が薄れて、よい建築をまた作りたいと思ってしまうのかもしれない。


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先日、長らく続けてきた新築工事の引き渡しを無事終えることができた。前日まで引き揚げ作業に追われていて相当疲れていたが、すべての養生が取り払われ、建物の全貌が現れた瞬間、それまでの苦労が一気に報われるような気持ちになった。毎回感じることだが、建築の仕事を始める前は、建物一つをつくるのにどれほどの時間と労力がかかるのか、想像もつかなかった。実際に自分の手で携わってみると、図面の一本一本、素材の選定、職人との連携、天候との戦い、そのすべてが積み重なり、ようやく一つの形になっていく。その過程には、言葉では言い表せない重みと達成感がある。これまでリノベーションの仕事には多く携わってきたが、新築は今回が初めてだった。既存の構造や制約がある中で工夫を重ねるリノベーションとは違い、ゼロから空間を立ち上げていく新築の現場では、一から十まで自分たちの判断と責任で積み上げていかなければならない。その分、プレッシャーも大きかったが、それ以上に得るものも多かった。今回の経験を通じて、技術的な課題や自身の未熟さとも向き合うことになったが、それらをしっかり受け止め、今後の糧としていきたい。


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竣工間近の現場で、施主とともにラワンの扉に蜜蝋ワックスを塗るDITを行った。色が深まり、艶が出ていく様子を楽しみながら、扉への愛着も自然と湧いたそうだ。建築に石油製品を使うようになった現代では、天然素材を用いることは「メリットとデメリットがあり、ハードルが高いもの」と語られる。質感が良く、経年で味わいが増すことが魅力である一方、トゲが出たり、汚れやすかったり、扱いに手がかかるというのが“デメリット”とされてきた。けれど、天然素材しかなかった時代には、それはただの「当たり前」であり、ネガティブに捉えられることもなかったのだろう。素材の特性を知り、正しいメンテナンスの仕方を知ることで、手のかかる子ほど可愛いと言うような、天然素材の特性を愛らしいと思える機会になってくれれば良いな、と感じた瞬間であった。


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半年にわたって進めてきた新築現場の足場が、ついに外れた。その瞬間、設計してきたものが1/1スケールで現実に立ち上がったのだと、ようやく実感が湧いてくる。嬉しさと同時に、自分が今どこにいるのか一瞬わからなくなるような、不思議な感覚を覚えた。それはお施主さんのキャラクターや公園に隣接する敷地の特徴を最大限活かした結果、日本のテンプレート的な新築でもなく、周囲の築30〜40年の建物とも異なる佇まいをしているためだろう。ここにどんな暮らしが根づいていくのかは、まだわからない。けれど、たしかにこの場所に、新しい未来へと続くひとつの風景が生まれたと感じることができた瞬間であった。


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建築には、水平連続窓と呼ばれる窓がある。近代建築の巨匠、ルコルビュジエが提唱し、現在も様々な建築に取り入れられる。RCや鉄骨の新素材により、窓は重力の制限から解放された。この建築はどうだろうか。室内から見る外の自然はもちろん素晴らしいが、外の別棟から見る窓は、透過した自然と反射した自然が同時に見える。自然に溶け込むのではなく、新たな風景を作り出している。新しいモダンの片鱗かもしれない。


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