2026.02
takashima studio
Myさんのための家











杉板型枠コンクリートのパネルを、お施主さんと一緒に制作した。コンクリート系の研究室出身という背景もあり、どこかでこの素材を使いたいという希望があった。実際に手を動かしてみると、材料はとても重く、なかなか大変な作業である。それでも、出来上がったコンクリートパネルには、使った杉板の木目がしっかりとコンクリートに転写され、独特の風合いが立ち上がってきた。このパネルは、外構のポストを囲うボックスとして使われる予定だ。家の「顔」となる場所に、自分たちにゆかりのある素材で、自分たちの手でつくったものが据えられる。住まいについて語るきっかけが一つ増え、そこからまた愛着も育っていくのだと期待している。


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Work: Myさんのための家
タグ:Architecture


最近、事務所がAIづいている。所長による有料級のAIゼミ以降、所員みんなどのようにしたらAIでできることを広げられるだろうと試行錯誤している。僕はclaudeを使っているのだが、部品が現場で収まるかどうかの確認のために、claudeを利用して3dプリンターで出力してみるということにトライした。手順としては、図面を写真でclaudeに渡し、モデリングソフトのrhinocerosで処理可能なphythonのスクリプトが出力されるので、これを3dプリンタで印刷するというものである。つまり、画像→プログラミング言語→モデリングソフト内での3dモデル→リアルな3dモデルという順序だ。一回ではうまくいかないが、何回かリレーするとrhinoceros上で意図したモデルがアウトプットされ、3dプリンターを動かして欲しかった形状のものがリアルで印刷された。デジタルな情報がAIというブラックボックスの中で処理され、最終的に実体のあるものが出来上がると、時代は大きく変わったのだなと感慨深いものがある。と同時に、使い方を間違えなければ、人間の可能性を間違いなく広げてくれるという確信もある。さらに速度を上げて変化していく世界の片隅で自分がやるべきことを見失わずに粛々と実行していくしかないんだなと思い、そしてそのように歩みを進めた先には今よりもきっと明るい未来が待っているはずだと感じた。


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引渡しを終えた家に、灯りがともった。分譲地の一角に現れたその明かりは、ただ室内を照らすだけでなく、夜道にもやわらかく光を落としている。LDKのような主な生活空間は1.5階の高さにあり、前面道路から暮らしの中を覗き込むことはできない。けれどその距離感があるからこそ、周囲に閉じるのではなく、住む人の気配や生活のあたたかさだけが、そっと街ににじみ出ていくのではないかか期待している。光を独り占めするのではなく、まわりに少しお裾分けするような建築になっていて、これからここで積み重なってい暮らしが、とても楽しみです。


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現場が最終盤に差し掛かると、仮設トイレや足場といった仮設物が撤去され、それらのボリュームがなくなることで、竣工時の空間へ劇的に近づく。仮設物は工事期間中に必要でありながらも、最終的にはそこにはないものなので、鬱陶しい存在でもあって、それらがなくなると周囲と急に空間が連続しはじめる。敷地裏の柿の木畑の隙間と空間が連続し、敷地の中にとどまらない奥行きと抜け感を獲得し始めた外構はなんとも気持ちがよかった。


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現場の終盤に不意に虹が現れた。偶然、光の加減でどこかのガラスか鏡に当たった光が屈折したのだと思うのだが、この建築の間近に控えた竣工を祝福しているようだった。建築は数えきれない部材の集合体である上に、周辺環境は変化してしまうので、設計時には意図していないことがリアルスケールになるとどうしても起こることがある。ただ、今回は豊かな空間がさらに映える美しい予想外だった。


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職人さんの丁寧な仕事は、些細なことから伝わってくる。これは埼玉のとある現場の、駐車場を作っているときの様子です。ネコとよばれる、土などを運ぶ一輪車が二つ綺麗に並べられています。早朝のまだ、太陽が起き始めあばかりの現場に、ちょこんとふたつ。これから、コンクリート車がきて、すぐに工事が始められるように、安全に効率よく進められるように、準備しています。まるで、スタートラインを切る前の100mランナーのようにも見えます。丁寧な仕事は、こんな些細なことから、伝わってきます。


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職人さんのすごいところは、一定のクオリティをその日来た現場で毎回出すことにあると思う。現場は毎回状況や事情が違うので、求められることも微妙に異な理、例えば、とにかく納期を優先して手早くそれでいて卒なく収めることを求められることや、時間には余裕があり手が込んだ納まりを間違いのないようにこなすということもある。その裏側には窺い知れない回数の作業と経験があるもので、毎回見るたびにまるで民藝のようだなと思っていた。今日も目の前で初めて見る、ラッキングという配管を板金でカバーする様子に見とれてしまった。ただ、現場終盤にそんな悠長なことをしている暇もないので、すぐハッとしてやることに戻ることになった。


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Myさんのための家はkurosawa kawara-tenの事務所からかなり遠い。片道100kmを超えるくらいの移動をすることになる。朝早くに家を出ないと渋滞に巻き込まれて痛い目を見ることになるので、僕は5:30に家を出て現場に向かっている。そんな現場に馴染みの職人さんもかなりきていただいている。遠いから勘弁してほしいと思われていそうで申し訳なくなるが、みなさんそんな様子を見せずにいつもの感じで仕事を進めてくれる。馴染みの職人さんとのやりとりはとても心地がよい。こういうウェットな関係性を大切にしたい。


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住宅の気密性能を上げるのはすごく地道な作業の積み重ねだ。実際の建築には想像している以上に多くの孔が空いている。建物というのは意外とソリッドには作られておらず、細かい資材の集積によって成り立っているから当然たくさんの隙間ができる。その孔を誰がどのように塞ぐのかというときに、誰がやるべきとも決まらないなんとも絶妙でこぼれ落ちてしまいかねない穴がある。kurosawa kawara-tenでは設計者が現場監督であることもほとんどなので、これは自分たちで塞ぐ。今日も玄関サッシの隙間をウレタン発泡剤とモルタルで埋めて、快適な住空間により一歩近づいた。


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工程上後回しとなっていた床やボリュームが施工され劇的に空間が変わった。もちろん、図面を見ているのでそのような空間が立ち現れることはわかってはいるものの、実際に空間を目の前にすると、なんだか感心してしまう。緩やかに区切られている空間がとても伸びやかで気持ちいい。この建物が建築にグッと近づいた瞬間だと感じた。


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内装屋さんがクロスを張るためのパテをうっている。このようにして、ビスや石膏ボードのジョインとの段差をなくしていく。自分でやってみるとものすごく難しい作業というわけではない。ただ、職人さんはこれを延々と作業し続ける。一棟の住宅でどれほどのパテをうつ必要があるのだろうか。現場には星の数ほどやることがあるという言葉を聞いたことがあるが本当にその通りである。


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最近になって、住所がない土地というものがあるということを知った。分譲地では建物が建って玄関の位置が決まると住所を行政にもらえるという仕組みで運用されていることには驚いた。同時に地番とか家屋番号とか世の中には決め事が多い。そして、住宅ローンを決済するまでの道のりも長い。現場監督をしつつ、行政や審査機関、土地家屋調査士とのやりとりをしながら、市街地にある住宅というのは社会性のある建築なのだということをこのような煩雑な手続きの中で改めて実感する。とにもかくにも、住所がない土地にものを配送してもらうのは大変で、配送業者と電話でやりとりする煩わしさから解放されると思うと住所表示のありがたみを強く感じる。


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去年まで事務所にパートタイムとして、所属してくれていた元スタッフが、大工さんとして働いている。もう半年になる頃だと思う。なんとなく元から職人さんのような風格がある彼だったが、今や誰から見ても大工さんになっている。その様は本当にかっこいい。まだまだですよ、と謙遜するし本人からしたら実際そうなのかもしれないけれど、今後どのように成長していくのかすごく楽しみである。


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職人さんには手癖というものがあると思う。その人の経験から自然とそのようにする癖のことである。電気屋さんは壁に石膏ボードが貼られる前に、スイッチやコンセントの位置を決めるためのボックスを取り付けるのだが、それが柱の真横ではなく角材によって少し位置がずらされていた。ここには引き戸が来るのでそれを干渉してしまわないようにわざとずらしているということだった。現場監督や設計者がそこまでの指示をすることはなかなか難しく、職人さんの手癖によって救われていることは現場では数えきれないほどある。


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親方と弟子が一緒に動いている大工さんをこれまでほとんど見たことがなかった。今時だと、「一人親方」の大工さんばかりなので、二人で動いているとしても親方と弟子という関係性ではなく独り立ちした二人の大工さんということになる。このプロジェクトでお願いしている大工さんはそのような状況と全く異なり、親方と弟子という関係性だけでなく兄弟子というポジションの方もいる。チームとして安定感があり、瞬間的なパワーの最大値も大きい。このような持続可能なスタイルをもつ集団は今の時代には貴重であり、また次の時代へ向けて必要だと感じた。


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埼玉県上尾市で、担当物件の上棟があった。昨年までうちの事務所でアルバイトをしてくれていた子が、大工になると言って就職した工務店さんに、この仕事を受けてもらった。兄弟子に囲まれながら、柱を立て、合板を配り、釘を打つ。彼に会うのは半年ぶりだったが、その背中は確実に前よりも頼もしくなっていた。声を掛け合う現場の熱量から、良い先輩や同僚に恵まれて切磋琢磨しているのが伝わってきた。大工さん達のチームワークにより、あっという間に骨組みと屋根までが立ち上がり、無事に上棟を終えることができた。別の地域でも、高い志で建築をつくる仲間がいると思うと、背筋が伸びる気持ちになる。こちらも良い仕事で応えなければ。


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家一軒を建てる為には、相当数の金物が必要になってくる。基礎と柱を固定するもの、部材同士がずれないように留めておくもの、引っ張りの力に耐えるものなど、様々な役割がある。これらは、大地震国の日本では重要な部材であり、現在ではほとんどの家になくてはならないものとなっている。そうなると、金物がなかった時代の家はどうだったかが気になってくる。昔は木組とよばれる方法で、木材に仕口やほぞとよばれる加工を施し、組み立てる。大工さんの腕が光る作業だ。現在の建築で大工さんが輝ける場所はあるのだろうか。僕らは大工さんも誇れるような、そんな建築を建てたいと思う。


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