家族構成は時代の流れとともに変化し続けている。大家族から核家族へと変化してきたことはもうすでに一般的になっているが、その核家族の内容はさらに多様性をみせている。
一人暮らし、シェアハウス、夫婦二人、夫婦と子供、片親と子供、片親と子供と親の恋人、再婚の夫婦と子供など、その種類は数え切れないほどある。実の親子でも思春期の娘と父親など家庭内では距離を取りたいことがあるのだから、それぞれの家族でそれぞれに必要な距離感が違うはずであり、家はそんな家族を許容できる場所になるべきである。
新しく家族になった夫婦とその子供のためのリノベーションで、新婚夫婦と親子という二重の状況をもつ家族が、一つの家族になれる空間を作りたいと考えた。そのために、家族で過ごすスペースを最大に、プライベートなスペースを最小にすることとした。
マンションの一室の限られたスペースの中で、最大の空間を作るために、最長の長さの壁を対角線に作ることとした。ベランダに面した気持ちの良い側を家族のためのLDKとして設え、残りの半分を水廻りと寝室とした。夫婦寝室と子供部屋、またそれぞれの部屋とLDKの間には廊下があり、小さな緩衝空間として家族の距離感を作り出す手助けになるように期待した。
Photo : Sayaka Mochizuki