拡張設計という耳慣れないことを始めることにしました。
拡張設計とは建築事務所であるところのkurosawa kawara-tenを一時的に拡張してみようという試みです。
具体的には、次のようなルールを設けてやってみようと考えています。
1.参加者はkurosawa kawara-tenに一度でも良いので在籍または参加したことがある人。
(元社員、アルバイトOB、現役アルバイト、インターンOB、インターン、ワークショップ参加者など)
2.隔週土曜日に終日日程で集まる。
(最初にプロジェクト自体に参加するかどうかを表明してもらって以降は、出欠席に関しては厳しくは問わない)
3.設計するプロジェクトは自社物件、もしくは予算が少なすぎて普通には受けられないけど受ける価値のある物件。
単純に設計事務所として建築設計をするわけですが、
参加者を拡張してみようという試みです。
これにはいくつかの狙いがあるのですが、
一つはもちろんkurosawa kawara-tenのリクルートと広報です。
千葉県市原市の郊外戸建団地のような辺鄙なところで、
駅からも遠くて大学も側にない、
そんな設計事務所がスタッフを獲得しようと思ったら、
アルバイトですらなかなか見つかりません。
そこで、
実際のプロジェクトに対して設計や積算、
またはプロジェクト自体の広報などの実務を主体的に行う機会があるようなところだよと、
学生が周囲に広報してくれることを期待したり、
アルバイトスタッフが実務の経験をすることで、
この事務所なら働けるなと思ってくれたりすることを期待したり、
OBが会社に戻って同僚に話をすることで、
脱サラしてそんな面白そうな事務所で働いてみようかなと思うような人とに届けばいいなと考えているわけです。
二つ目は、
学生たちに地方でやっている個人事務所の実際を体験してもらうことで、
勉強にフィードバックされたり、
大手組織設計事務所やゼネコン以外の選択肢もあることを知ってもらうことです。
大きな会社がないと現在の社会が成り立たないのは大前提ですが、
今の日本はあまりにも多様性がなくなってきているように思います。
良い大学を出た優秀な学生こそ、
自分の能力を大きな組織の為に使うのではなく、
個性をはっきしながら誰にもできない独自の仕事をしてほしいと考えています。
そして、
三つ目は、
大学から就職というコース以外の人生がありえることを楽しみながら実践できないかと考えています。
同じ年齢で同じタイミングで大学に入って同じタイミングで就職するという強迫観念に迫られている学生たちをみるのですが、
人生はそんなに簡単にはいかないものだろうと思います。
一度就職してから大学院に戻ったり、
大学院を一旦休んで就職したり、
大学に行きながら正社員として働いたりすることが本来は可能ではないかと思うのです。
優秀な才能は一つの企業の独占物ではないはずです。
普通にサラリーマンをやりながら、
隔週の土曜日だけは個人設計事務所の正規スタッフとしてプロジェクトに没頭する。
初めて会う人への自己紹介が、
”小さな設計事務所で空家の回収をしている〇〇です。普段は〇〇工務店で働いています”となったら良いなと思っています。
本日拡張設計第一弾”ハヤシハウス”の二日目を行いました。
初日は空家の片付け、二日目は空家を拡張設計のための仮設オフィス化でした。
まだ二日間しか行っていない拡張設計ですが、
これは素晴らしい方法を考えついたのではないかと思っています。