kurosawa kawara-ten

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Note

2017.04.19キタグチハウスWS

3月最終週の5日間を使って、
千葉大学の建築学科学生に対する空家改修ワークショップ(WS)を行ないました。

kurosawa kawara-tenでは郊外戸建団地の次の姿を日々の設計では真剣に考え提案しているのですが、
実際のところそんなに多くの設計依頼が来るわけではありません。

そんな中、kurosawa kawara-tenの事務所がある戸建団地の中から空家を譲りたいというお話をいただきました。
小さな団地といってもなかなか情報を行き渡らせることは困難で、空家対策のセミナーを開いたり、リーフレットを配ったりと地味に活動していた結果が少し出たようでとてもありがたいことでした。

事務所から少し離れていることと、せっかくなので自分たちのためだけの施設として使うのではなく、この団地の明日の姿を考えられる、または少しでも見せられるようなものにできないだろうかと考えた結果、団地の人達のための”ゲストハウス”としてリノベーションすることにしました。

このゲストハウスというのは、バックパッカーのための小さな宿ということではなく、最近のマンションによく設置されている共用部分としてのゲストルームにあたるものを作ろうと考えています。盆暮れ正月に実家に子供が帰ってきたり、親戚が尋ねてきたりした時に、自分の家だけだと手狭な人が数泊の宿泊場所として低額で借りることができるというものです。もちろん、毎日宿泊者がいるほどに回転率が良いとも思えないので、宿泊者がいない場合には、ちょっとした打ち合せやお茶飲みなどにも使ってもらえるようにと計画しています。

そんな郊外戸建団地に今まであまりなかった共有部分を空家を利用して作るにあたって、いつものようにkurosawa kawara-tenが計画をして職人さんに工事をしてもらえばすぐにできて簡単なのですが、せっかくなのでこの設計から工事の行程にも新しい郊外戸建団地の姿が作れるように、学生向けのWSとすることにしました。

今までは、住んでいる人が昼間は仕事に出て行き、次世代の若者は都市部やその他の場所へ出て行くだけの場所だった郊外戸建団地に、WSのために若い学生が通ってくるという一時的ではあるものの、これまでとは逆のベクトルを作ろうと思ったのです。

行程は、まず学生と一緒に1日現地調査を行ないました。築40年(1970年代築)の木造戸建がどんなものなのか、木造軸組の仕組み等を実際の建物を見ながら郊外戸建団地の現状等の問題とともにレクチャーをしました。

次に大学に戻って3日間かけて学生の設計をkurosawa kawara-tenとして指導をしながら一緒に考えていきました。設計の行程に参加してくれた学生達はまだ1年生だったので、授業でも設計をしっかりやったことがなかったようで、少し大変そうでしたがしっかり基本設計案を作ってくれました。

最後に5日間をかけて実際に解体を行なって、今回設計での提案部分を学生が自分の手で工具を使って工事を行ないました。

2日目には大工さんが工具の使い方やビスの打ち方などを指導しながら一緒に工事を行なったり、水道屋さんや電気屋さんなどから配管配線などのレクチャーを受けたりしながら、実際の木造住宅の作られ方を見てもらえたのではないかと思います。

途中にkurosawa kawara-tenの学生スタッフの卒業祝いも兼ねたBBQを庭で行なったり、コーヒーの焙煎をしてみたり、学生から海外プロジェクトに参加した際のレクチャーをしてもらったりと、千葉県市原市の準限界集落となった郊外戸建団地が、この一週間だけはかなり建築的にエキサイティングな場所になったのではないかと思います。

建物の内容は完成後また公開したいと思います。