kurosawa kawara-ten

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2018.06.131/16の知らない土地

kurosawa kawara-tenでは郊外戸建団地で事務所のある市原市の吉野代団地の空家を調査して、
持ち主に対して売買や譲渡をしてもらえないだろうかと働きかけている。

その中でいままであまり考えていなかったが重要な事実に気が付いたので事の顛末を少しだけ書いておこうと思う。

”子供のいない家庭の相続は、生前贈与をしておかないと大変なことになる”というものだ。
もしくは、
”祖父母に子供のいない兄弟姉妹がいる場合、
もしかしたらあなたは知らないどこかの土地の小さな一部分を所有しているかもしれない”ということである。

まず言えるのは、
あなたの祖父母やその前の世代が昭和22年(1947年)以降に亡くなっていて、
さらにその亡くなった人に子供のいない兄弟姉妹がいた場合には、
自分自身が全く知らない行ったこともない場所の土地の一部分を所有している可能性があるということだ。
これはどんな人にでも当てはまる可能性がある。

これは現在働きかけている空家がまさに子供のいない夫婦の所有で、
その空家を売買や譲渡のできる状態にするために固定資産税の支払者を訪問したところから始まる。

現在固定資産税を支払っているのは元の所有者である夫婦の夫側の弟さんだった。

この方の話では夫側にはその他に三人の兄弟がいるらしかった。

この夫婦は先に夫が亡くなり、
その後に奥さんが亡くなっているのだが、
奥さんの側にも姉妹が一人以上いるとのことだった。

そして、
ここで相続の流れを考えていくと現在相続者がとんでもない数になっていることが発覚したのだ。

夫が先に亡くなったが子供がいなかったために奥さんに1/2、夫側兄弟に各1/8ずつこの時点で相続が発生している。
このときに遺産分割協議を行って奥さんが不動産で兄弟が動産を相続することに決めて、
不動産は登記を行っておけば問題なかったのだがもちろんそんなことはしていない。

その後奥さんも亡くなったのだが子供がいなく両親もすでにいないので姉妹に相続される。
この姉妹の数が確定していないのだが、
一人なら1/2、
二人なら1/4。

そして、
この時点で夫婦が亡くなっているのだから兄弟姉妹もそろそろ亡くなってしまってもおかしくない年齢であることは想像できる。
少なくとも姉や兄など年上の兄弟姉妹ならば尚更だ。

そうなると、
夫婦それぞれの兄弟姉妹の子供達に相続が行われる。
もしそれぞれに二人ずつ子供がいたとしたら
(ここからはまだ調査が進んでいないので想像だが)、
夫側は各1/16ずつ、
妻側は各1/8ずつ相続されていることになる。

現在の空家の姿は写真の通りだし、
手入れがされている様子もない。
きっと現在相続が行われているかもしれない1/16の所有者は、
この空家の存在も知らなければ、
そもそも自分がそんな不動産の一部所有者だという事実すら知らないだろう。

もしその中に子供を得ずに亡くなる人が出てくればまた同じことが起こるし、
相続先がなく亡くなる人が出てくればついに国庫への収容が行われることになり、
事態は混迷を極めることになるだろう。

こんな相続のシステムに問題があることは明らかだが、
そんな法律の中で生きている日本国民であれば、
子供のいない世帯の人(ただ独身というだけでも不動産を持っていれば)は、
もし自分が不慮の事故や病気または寿命を全うして亡くなった場合に、
特に不動産に関しては誰に譲るのかを法的に効力のある方法で決めておくべきだろう。

ちなみに、
子供がいない兄弟がいても結局相続して行った結果問題がなくなるパターンがあることにも気が付いた。
例えば、二人兄弟の兄が独身で弟の子供が一人だった場合。
両親から相続した不動産を兄弟で分け合った後にどちらも亡くなった場合。
結局弟の子供へと収束していくことになる。
一度分割された所有権が一人の権利になるようなラッキーなパターン。
ひと昔前の世代は兄弟姉妹が多いのでこのパターンは稀だろうから、
もしかするとあなたもどこか知らない土地を1/16くらい持っているかもしれない。