kurosawa kawara-ten

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Note

2016.07.14手のつけられない不動産

kurosawa kawara-tenが焦点を当てている地方都市郊外の工業団地には、
”手のつけられない不動産”というものがたくさんあります。

それは、
空き家であること空き地であることは明らかで、
誰も使用していないのに、
買うことも借りることもできないということです。

なかには朽ち果てそうな空き家や、
雑草の生い茂った空き地など、
あまり気持ちのいい物ではない状態で放置されているため、
放火や不法占拠などの温床になってしまうと危惧されたりしています。
割れ窓理論からすると、
団地全体の治安が悪化する遠因となる可能性があるわけです。

ではなぜそのような不動産に手を付けることができないのでしょうか。

それは、
そんな不動産にも所有者が必ずいて、
その所有者が手放そうとしないからです。

郊外の工業団地は地価が暴落していて、
1坪1万円ということも珍しくありません。
売ったところで期待するような値がつくこともないのであれば、
思い出のある土地だしどうしても手放す必要も無い。
そんな気持ちからでしょうか、
住むわけでも貸すわけでもない空き家を所有し続けて固定資産税だけを払い続けているのです。

不動産も個人の所有物なのでどのように使おうと個人の自由。

はたしてそれで本当に良いのでしょうか。

隣の土地を買い増してもっとのびのびと暮らしたい人。
耕作放棄地を手に入れて美しい田園を保護したい人。
空き家や空き地にたくさんのアイデアを持っている人。

もし地域が停滞しているとしたら、
それは不動産の停滞が原因の一つではないでしょうか。
動かせない我が家の周りが歯抜けの空き地になってしまっても、
周囲をぼろぼろの空き家に囲まれてしまっても、
理想の住環境を作ろうにも、
どれだけ格好をつたくても、
それでも何もできないのが現在の不動産のシステムです。

完璧なシステムが無いとは思いますが、
できることならば、
数年使用せずに放置している不動産に関しては、
利用の希望者がいる場合には応じなければならない仕組みになればと思うのです。